仕事でメールを送っていると、ある時期から追跡結果が急に静かで奇妙になったと感じたことがあるかもしれません。送信から4秒後に開封と表示されるメール。まったく反応が記録されない受信者。どちらも同じAppleの機能で説明がつきます。仕組みを理解しておけば、意味のない数字から余計な意味を読み取らずに済みます。
メールプライバシー保護とは
メールプライバシー保護は、Apple Mailの設定項目のひとつです。Appleは「メール」の初期設定時にこの選択肢を提示しており、「設定」内の項目名は「メールでのアクティビティを保護」です。
Appleのサポート資料は、その目的をはっきりと説明しています。Apple自身を含むメールの送信者が、あなたの「メール」でのアクティビティに関する情報を知ることを防ぎ、プライバシーを保護するというものです。AppleはIPアドレスを隠すことで、送信者がそれをほかのオンライン上の行動と結びつけたり、居場所を特定したりできないようにし、さらに送信者が送ったメールを開封したかどうかを送信者に知られないようにするとしています。
自分のiPhoneでこの設定を確認するには、「設定」を開き、「アプリ」、「メール」、「プライバシー保護」の順にタップし、「メールでのアクティビティを保護」を見てください。オフになっている場合、Appleは代わりに「IPアドレスを非公開」と「リモートコンテンツをすべてブロック」という、より限定的な2つのオプションを用意しています。
仕組みの裏側
追跡メールを送るすべての人にとって重要な仕組みが2つあります。
メールを開く前に画像をダウンロードしている
Appleのメールプライバシー保護に関するプライバシーページには、「メール」は初期設定でリモートコンテンツをバックグラウンドでダウンロードすること、それはメールを開いたかどうかに関係なく行われることが記載されています。ここが肝心な点です。メッセージ内のトラッキングピクセルは、メッセージが届いてまもなく、受信者本人が何もしないうちに、受信者に代わってApple自身が取得してしまいます。
つまり、追跡ツールが通常「開封」と解釈するはずの出来事は、受信者が件名を目にするより前にすでに起きています。そして実際にメッセージを開くころには画像はすでにキャッシュされているため、それに気づくための2回目のリクエストは通常発生しません。
2つのリレーでIPアドレスを隠している
Appleはそのコンテンツを、異なる事業者が運営する2つの別々のリレーを経由させます。Appleの説明では、1つ目の事業者はあなたのIPアドレスを知りますが受信するコンテンツは知らず、2つ目の事業者はコンテンツを知りますがIPアドレスは知りません。つまり、両方を同時に知る当事者は存在しません。送信側から見ると、リクエストに付くIPアドレスは読み手のものではなくAppleのリレー基盤のものであり、位置情報としては役に立ちません。
Appleはこれに関連して、VPNを使用している場合などにリモートコンテンツをプライバシーを保護した形でダウンロードできないとき、「リモートコンテンツをプライバシーを保護した形で読み込めません」というメッセージを表示し、読み込む前に確認を求めるとも説明しています。
一部の追跡ツールが、起きていない開封を報告する理由
ここは業界としてあまり気持ちのよくない部分です。ピクセル方式の追跡ツールが見ているのは、画像へのリクエストだけです。そのリクエストだけからは、実際に人がメッセージを開いたのか、それとも配信の1分後にAppleが自動的に画像を取得したのかを区別できません。
すべてのリクエストを単純にカウントするツールは、見栄えはよくてもほとんど意味のない結果を出します。
- 送信から数秒後に記録される開封
- 眠っているはずの受信者からの開封
- Apple Mailの読者が多いリストでの、異常に高い開封率
- 位置が表示されない、あるいは位置が転々とする開封
明らかに起きていないはずの開封をもとにフォローアップした経験があるなら、原因はこれです。
Email Trackerが代わりにしていること
Email Trackerは逆のアプローチを取り、間違ったものを見せるくらいなら何も見せません。Appleの自動的な先読みを意図的に無視するので、「メールでのアクティビティを保護」を使っている受信者からは、誤った開封ではなく、通常はまったく開封が表示されません。
これは本当の限界であり、はっきり述べておく価値があります。「メールでのアクティビティを保護」をオンにしている受信者による開封は、一般に検出できません。 Email Trackerだけでなく、画像リクエストに頼るほかのどの追跡ツールも同様です。検出すべき正直なシグナルがそもそも残っていないからです。そうではないと主張するツールがあれば、先読みをカウントしているか、当て推量をしているかのどちらかです。
同じ考え方から、アプリにはもう2つのルールがあります。自分のデバイスとネットワークからのリクエストは無視され、追跡メールの作成から最初の60秒間の動きも同様に無視されるので、自分自身の送信操作が受信者の開封として表示されることはありません。自分宛てにすばやくテストしても何も表示されないのはこのためで、詳しくはメール追跡を正しくテストする方法で説明しています。
影響を受けないもの
メールプライバシー保護が適用されるのはApple Mailだけです。ほかのメールアプリには及ばないため、多くの追跡メールは今でも普通に結果を返します。
- Gmailアプリとウェブ版Gmail。 Googleは初期設定で自社のプロキシ経由で画像を読み込むため、開封とその時刻は取得できます。位置はGoogleのものなので、誠実なアプリは不明と表示します。詳しくはiPhoneでGmailのメールを追跡するをご覧ください。
- ウェブ版Outlookと、Outlookのモバイルアプリ。 挙動はアカウントとテナントのポリシーによって異なり、デスクトップ版の従来のOutlookは初期設定で画像をブロックします。
- Yahooとその他ほとんどのウェブメール。 画像はおおむね読み込まれます。
- 「メールでのアクティビティを保護」をオフにしたApple Mail。 おおよその位置を含む、完全な結果が得られます。
iCloudのアドレスとApple Mailは同じものではないことも覚えておく価値があります。受信者はiCloudのアドレスをGmailアプリで読むこともできますし、GmailのアドレスをApple Mailで読むこともできます。重要なのはアドレスのドメインではなく、読んでいるアプリのほうです。この違いについてはiCloud Mailの開封を追跡するで扱っています。
送信者が現実的にできること
他人のプライバシー設定をオフにすることはできませんし、そうすべきでもありません。できるのは、その情報の使い方を変えることです。
反応がないことを「情報なし」として扱う。 この機能ができる前は、開封がないことはおおよそ「開いていない」を意味していました。今では「開いていない」か「非公開で開いた」のどちらかを意味します。無視された証拠ではありませんし、苛立たしいフォローアップを送る理由にはなりません。
マイナスではなくプラスの情報を重視する。 Email Trackerが報告する開封は、わかりやすい誤検知の要因がすでに取り除かれているぶん、本物のシグナルです。これを活用し、メールが開封されたあと、いつフォローアップすべきかで説明しているようにタイミングを合わせてください。
追跡による推測ではなく、明確な依頼を使う。 具体的な質問、短い締め切り、相手にクリックする理由のあるリンクのほうが、開封回数よりずっと関心の度合いを教えてくれます。
シグナルではなくスケジュールでフォローアップする。 何が起きても営業日で3日後には様子を見ると、あらかじめ決めておきます。追跡はフォローアップを早める理由にはなっても、唯一のきっかけにはしません。
追跡では直せない部分を改善する。 件名、送信する時間帯、なぜ書いているのかを伝える最初の一文は、どんな計測よりも返信を後押しします。
プライバシー面についての補足
Appleがこの機能を導入した理由として挙げているのは、送信者がIPアドレスを一意の識別子として使い、ウェブサイトやアプリをまたいだ行動を結びつけて人物のプロファイルを作っていたことです。この懸念はもっともなものです。自分が実際に送った1対1のメールを何通か追跡することは、マーケティングリストから行動プロファイルを組み立てることとは性質が異なりますが、使われている技術自体は同じです。EUや英国がトラッキングピクセルをどう扱っているかを含めた法規制の全体像を知りたい場合はメール追跡は合法かを、仕組みそのものについてはメールのトラッキングピクセルの仕組みをご覧ください。
試してみる
Email TrackerはApp StoreでiPhone向けに無料でダウンロードでき、サブスクリプションは任意です。Apple Mail純正の作成画面を通じてメールを作成するため、Gmail、Outlook、iCloud、Yahoo、そしてApple Mailに追加済みのどのアドレスとも組み合わせて使えます。そして、間違った情報を伝えるくらいなら、何も伝えません。
メールが届いたかどうか、もう悩まない
App StoreからEmail Trackerを無料でダウンロードして、次にメールが開封されたときに通知を受け取りましょう。
iPhone、iOS 17以降。ダウンロードは無料、サブスクリプションは任意です。